同 座

私たちは、すこし立場ができ、又ものを知るとついつい上から下を向いて話す姿勢になります。

 ですから、同じ場に立っていても気持ちの上では自分が上に立ち、相手を下に見るということになります。

 本当の意味で同じ場に座るということは並大抵のことではありません。

このむつかしいことを日々実践されたのが蓮如上人であります。

 「身を捨ててをのをのと同座するするおば、聖人のおほせにも、四海の信心の人は みな兄弟と抑せられたれば、我もその御ことばのごとくなり」といわれています。

 自分の立場や身分を捨て、みんなの人と同座するのは、親鸞聖人の「この世でお念仏をよろこぶ人はみな兄弟です」と言われたお言葉のように生きようと思ってのことですと、蓮如上人はいわれました。

 そしてさらに、「同座をもしてあらば、不審なることをもとへかし、信をよくとれかしと、ねがふばかりなり」と言われました。

 こうしてみなさんと同じ場に座り、膝を突き合わしているのですから、どうか日頃み教えを聞きながら、わからないところ、疑問に思うところ、もうひとつはっきりしない処があったら、どうぞ遠慮なく尋ねて下さいと言うのが、蓮如上人のお心です。

 そして、「どんなことがあってもあなたを捨てることができない」という阿弥陀如来の深く大きなお心が、私たちを思い案じてくださっているということをしっかりと聞き開いてくださいと言われました。

 そしてさらに、「私はそのことを願うばかりです」と、蓮如上人はおっしゃって下さったのです。